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アザーン
 イスラム教における礼拝(サラート)への呼び掛けのこと。ユダヤ教のラッパ、キリスト教の鐘と同じような役割をしているが、肉声で行われることに特徴がある。「神は偉大なり」という意の句「アッラーフ・アクバル」の四度の繰り返しから始まる。
 一日五回の礼拝の時間の前に礼拝の時間が来ることを伝え、周辺に住むムスリム(イスラム教徒)にモスクに集まるよう呼びかけるために、モスク、あるいはモスクのミナレットから呼びかけられる。現在は拡声器を使って流されることが多い。時計代わりとして、信徒の一日の生活上の節目となっているとも言われる。
 アザーンの習慣と唱えられる内容は、マディーナ(メディナ)時代のムハンマドと教友たちによって定められたとされ、慣行(スンナ)としてイスラム教徒に守られている。必ずしもアラビア語で行わなければならないわけではないとされるが、アラブ諸国以外のイスラム国であってもアザーンはアラビア語によって行われている。トルコではアタテュルクの改革の一環としてアザーンをトルコ語で行うことが定められたが定着せず、ふたたびアラビア語に戻されたほどである。
 ただしアザーンで用いられるアラビア語には、現地の訛りが存在しており、各地のアーンミーヤやペルシア語、トルコ語の影響で、語句の発音等に変化が見られる。
 イスラム教国旅行記ではしばしばアザーンを指して「一日5回モスクから流れるコーランの朗誦」といった記述が見られるが、これは誤解。アザーンは礼拝への呼び掛けであって、コーランの朗誦ではない。
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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