カゼルタ宮殿(イタリア語:Reggia di Caserta)

イタリアカンパニア州カゼルタ県カゼルタにある宮殿。ブルボン家ナポリ王が建てた。18世紀にヨーロッパで建てられた中で最も巨大な宮殿といわれる。1996年、UNESCO世界遺産に登録された。

宮殿は、247メートル×184メートルの長方形となっている。四方は2つの直角のアームでつながれ、中庭が4つあり、どれも3800平方メートル以上ある。建物外側の弓状の連なりと合致したファサード後方に、巨大な前庭が広がる。ごちゃまぜになった建物は、日常業務を円滑にするようにと建てられたものである。左手の弧は兵舎として建てられた。ここは第二次世界大戦中、アメリカ軍第5師団が休息センターとして接収していた。

王宮部分の全てはヴェルサイユ宮殿に触発されたもので、カゼルタ宮殿は原型を追従する最大のものである。いまだ建築当時のままである欄干のある眺め、長い変化のないファサードの中にある装飾的構造物によって、わずかな壊れ目が用意されている。ヴェルサイユのように、広大な水路が驚くべき水辺の展示のために水を引きこんで成り立っている。

宮殿はフランスと同じく、真のバロック様式として、不朽のブルボン王家の権威を象徴する場として設計された。カゼルタにおける誤りは、王の階であるピアノ・レアーレより上にある。この階は他の階と等しい建築的価値と雄大さがある。後期バロックのサローニは、国の富を見せつける場所であると同様、政府の中心地であった。宮殿は王家の私室と、ナポリ王家宮廷とにあてられており、宮殿敷地内には政府庁舎や国立図書館、大学、国立劇場が建てられていた。これらは、ナポリの無秩序やむさくるしさから切り離されていた。

カゼルタでのナポリ王は、パリの喧噪から逃れたルイ14世と同じやり方で、首都の暴徒と内紛から離れていられたのである。その上、規模と華美さから、内陸の利点を生かし、ナポリ湾に面し海からの攻撃を避けられないかつての王宮よりさらに防御的になった。王のために、宮殿敷地内に護衛用兵舎が建てられた。今日、広大な中央エントランスの車道は、市の循環道路の中に編入されている。

庭園は典型的なバロック様式で、120ヘクタールあり、丘陵地形である。ヴェルサイユ庭園に触発されたものだが、美しさにおいては勝っているとみなされている。公園は宮殿の後方ファサードに始まり、人口の噴水と滝のある長い小道が片側を通る。上部分は、1780年代にカルロ・ヴァンヴィテッリとジョン・グレアファーが設計した英国式庭園がある。ジョン・グレアファーは、ジョゼフ・バンクスによりナポリ駐在のイギリス外交官ウィリアム・ハミルトンに推薦された人物で、造園家である。この庭園は、初期にヨーロッパ大陸に造られた英国式庭園である。

噴水と人口滝はどれも井戸によって満たされている。ルイージ・ヴァンヴィテッリによる建築と水圧学のたまもので、距離のある広い運河から水平線上に水が引かれている。サンクトペテルブルク郊外のペーターホーフ宮殿に対抗したものといわれている。有名な噴水として以下のものがある。

ディアナとアクタエオンの噴水 - パオロ・ペルシコ、ブルネッリ、ピエトロ・ソラーリの彫刻
アフロディテとアドニスの噴水(1770年 - 1780年)
イルカの噴水(1773年 - 1780年)
アイオロスの噴水
セレスの噴水
像のほとんどが、古典的な古物をモデルとしてガエターノ・サロモーネが王宮庭園のためにつくったもので、大規模な工房で創作された。

カゼルタは、1999年の映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』と2002年の『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』の劇中で、アミダラ女王の宮殿として撮影された。同じ部屋が、『ミッション:インポッシブル3』でヴァティカン市国として使用されている。事実、撮影のために宮殿内側の広場で実際にランボルギーニが爆破されている。

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)
カゼルタの18世紀の王宮と公園、ヴァンヴィテッリの水道橋とサン・レウチョ邸宅群