2005年6月18日 ネコには徐々に近づく
日本経済新聞 2005.6.19朝刊『夫婦で始める デジカメ散歩術 』より
 
 散歩写真愛好家の間で人気の動物がいる。それは猫だ。
社会の規則に縛られない自由な生き方、可愛さとふてぶてしさが同居した野性的な容姿、人間界の喧騒など知らないようなのどかなふるまい、ときに寂しげなたたずまい。

じっに魅力ある被写体だ。

ネコが多くいる場所はなんといっても人間の住む町の中。

ビル街や表通りにはいなくても、ちょっと裏道に入れば古い家並みがあり、ネコがいる。

住宅地ばかりではなく飲食店街もネコが多い。それも新興チェーンの開店が続くような騒がしい街ではなく、古くからの個人営業の小さなお店がつらなる飲みや街だ。つまり人間の生活臭のある街に猫はいるということだ。

猫を撮る秘訣は、むやみに追いかけないこと。追われれば逃げるのが猫の習性。何ごともないかのようにゆっくり近づくのがよい。遠くから望遠で撮って様子を伺う。もし逃げなければ、近づいてズームレンズのワイド側で撮る。

このとき、しゃがんで低い姿勢でとるのがよい。子どもや動物を撮るときは同じ視線の高さになるように、低小位置から撮るのが基本とされている。

 猫から見える場所にただ突っ立って待つのもいい方法だ。猫の方から近づいてくることがある。公園などには人なれしていて、しかも腹をすかした猫がいる。彼らは何かもらえるのではと親待して向こうからやってきてくれるのだ。ただし、野良猫にエサをやるのはマナー違反。エサで釣るようなことはやめた方がよい

 寝ているネコは逃げないので初心者にも撮りやすい。静かに猫に近づけば、顔のアップも撮り放題だ。ただし、一眼レフでの撮影は注意を要する。一眼レフカメラはシャッター音が大きいので、猫の耳元でいきなりシャッターを切ると猫は跳び起きて逃げてしまう。シャッターを切りながら徐々に近づくと猫も音に慣れてくれる。シャッター音がしないコンパクトデジカメならならなお安心だ。鼻先にカメラを近づけても気づかない。
 
そろそろ蒸し暑くなったのか朝方は前足を伸ばして寝ています。