2006年12月6日 ねこひっかき病
 置きこたつを出したらさっそく入ってきました。しかし11月末はさすがに温かく、暑くなってこたつから出てきました。しかし、昨日はかなり寒かったのでこたつの中でいつもの冬のようにのびた餅状態で寝ていました。

 昨日の日経新聞の夕刊にねこひっかき病の話題が掲載されていましたので書きだしてみました。
そういえば40年前、知り合いの人が野良猫をおいつめたら逆襲されて手を噛まれ、手が腫れ上がって熱が出たというのを思い出した。これがねこひっかき病だったのだろう。

日経新聞 2006.12.5夕刊 動物からの感染症Aより 公立八女総合病院院長 吉田 博氏の話
 ネコやイヌにひっかかれたり、かまれたりしてリンパ節が腫れる「猫ひっかき病」。多くは軽症のまま抗生物質で治るが、まれに脳症など重くなるので注意が必要だ。公立八女総合病院(福岡県八女市)の吉田博院長は「子ネコや室外飼育のネコからの感染が多く、予防にはペットのツメ切りなど衛生面に気を配ってほしい」と語る
●どんな病気か?
 「ネコやイヌがもつバルトネラ・ヘンセレ菌が傷口から侵入し、最初は周囲の皮膚が赤紫色に隆起する丘疹(きゅうしん)ができ、一−二週たつとリンパ節が腫れる病気です。手や腕の傷だとわきの下、足だとももの付け根という貝合に傷に近いリンパ節が腫れる。腫れは鶏卵大になることもあり、発熱や頭痛を伴う場合があります。脳症を起こした例も報告され、海外では死亡例もあります。

 「バルトネラ菌はネコの血を吸うネコノミによって広がり、動物の多くは無症状です。日本では飼育ネコの7%前後が保菌していると報告されている。保菌率は地域差が大きく、札幌市や仙台市でゼロですが、京都市16%、鹿児島県12%、沖縄県20%と、西日本ほど高いようです」

 「福岡県が特に多い訳ではありませんが、症状を示す患者が時々来院するので1996年から本格的に調べ始めました。これまでに97人を治療し、多い年では16人を診た。当病院の診療圏(約十万人)から単純推計すると、日本全体の発症者は年間1万〜2万人に達し、ペットからの感染症としては最多の部類とみられます。症状が表れても、原因不明のまま抗生物質を与えられて治るケースが多いと考えられます」

●接触だけで感染するか?
 「当院の症例では感染経路はひっかき傷が45%と最多ですが、接触だけという例も40%を占めます。
ネコに手足や顔をなめられ、皮膚の目に見えない傷から菌が侵入したと考えられる。ペットを飼うのをやめたのに、屋内に残ったネコノミに刺されて感染した人もいました。男女別では女性が多い。家庭でペットに接触する時間が長く、顔をすりつけるなど濃厚な接触をするためでしょう」

●感染が疑われたらどうするか?
 「ひっかかれたりかまれたりしたら軽傷でもすぐに消毒してください。傷が大きい場合、総合病院なら感染症科、なければ皮膚科や内科を勧めます。受診時に 『ペットにひっかかれた』などと詳しい状況を説明してください」 「治療はマクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が有効で、平均40日で治ります。大半の患者さんはリンパ節が腫れてから来院しますが、受傷後の早い段階で抗生物質を予防的に投与すれば重症になるのを防げます」

●予防法や注意点は?
 「統計的には子ネコからの感染が65%を占めます。皮膚が柔らかくノミがつきやすいほか、遊び好きでよくじゃれるからでしょう。室外で飼うネコや野良ネコにもノミがつきやすい。季節としてはネコノミが繁殖する7月から12月にかけてが要注意です」

 「ひっかき傷やかみ傷は糖尿病患者らが発症するとやっかいなパスツレラ症の原因にもなります。猫ひっかき病自体は重症例は少ないものの、他の感染症を防ぐのにも手洗いや傷口の消毒が重要です。ネコのツメをこまめに切ることやペットショップで買える殺蚤(さっそう)剤でノミを駆除するのも効果的です」
医師の認識高め実態の把握必要
 動物由来感染症の大半は議染症法に基づき、動物や人での発生状況を獣医師・医師が保健所に報告する義務がある。猫ひっかき病はその対象外で、発症件数かなど正確な統計がない。
 吉田院長は「米国で年間約4万人の発症が報告され、日本でも多いとみられるが、原因がよく分からないまま治療する例もあるようだ。医師の認識を高め、実態を正しくつかむ必要がある」と話している。

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