2007年12月2日 猫と自然 阪府医ニュース 2007.11.28 『本日休診』より
11月末から急に冬らしくなりました。バニラも冬モードになり、朝ガスストーブをつけたら、前に座り込んで暖をとっていました。

じゃまするなよ、眠たいんだよ・・・

大阪府医ニュースのペンネーム猫でコラムに書かれていた文章です。
猫と自然
(大阪府医ニュース 2007.11.28 『本日休診』より)

 都心の喧騒を逃れ、田舎に引っ越しました。白夜のごとく照明が焼塩とする中を、深夜、マンションに帰宅していましたが、一転して、椎の鳴き声に目を覚ます暮らしです。

 朝はかなり冷え込み、この頃は吐く息も白くなります。庭を見下ろすと、鶏のように庭を歩いているのは何と雌の雅で、猫たちは、それこそ窓ガラスにめり込まんばかりに張り付き、ヒゲから全身を震わせ、猟欲を顕わにし、飛び立つ椎を追って、縦横無尽に家の中を突っ切って行きます。引っ越し当日から、吹き抜けの梁を自在に飛びわたる姿を見るにつけ、猫は樹上生活者なのだと痛感しました。

 夜明け、ごみ置き場に行くと、驚いたイタチが足元を駆け抜けた先には4匹の猪がいました。片付ける私を遠巻きに見る目が恨めしそうに見え、申し訳ない気持ちになってしまいます。田舎暮らしは、野生動物の住処を侵害することでもあるのか、と思いながら、家に戻りました。

 さて、あれほど興奮していた猫たちは、飼い主の抜け出た後の布団の中にもぐり込んでちゃっかり暖をとっており、私が朝食の用意に台所に入ると、いつの間にか足元に来ています。猫は犬と違い、心理や行動に野生を多く残したまま人間の社会に適応していった面白さがあり、飼い猫は「文化」的な日常生活の中に唐突に「野生」を現出させる仕掛け人でもあると思っています。つまり、猫の方が犬よりも野生に、自然に近いというのが猫好きの私の持論です。でも、その場合、飼い主はどうなるのでしょうか?

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