粟粒結核症の結核菌検出率
結核Up to Dateより |
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粟粒結核は結核菌が血行性に播種した結核症で,細菌学的あるいは病理学的に少なくとも2臓器以上に活動性結核病巣があり,びまん性に粟粒大あるいはこれに近い大きさの結節性散布巣を認める病態である. 元来,一次型結核症の場合にも再燃型結核症の場合でも少量の結核菌がリンパ管を経由して血行性に散布するが,ほとんどの場合これらは肉芽腫病変として自然治癒する.粟粒結核として発症するのは結薇菌に対する個体の抵抗力が弱い場合で,一次結核症に引き続いて起こるもの(早期蔓延型)といったん治癒していた結核病巣が再燃して起こるもの(晩期蔓延型)とがある. @早期蔓延型:初感染巣に引き続く初期変化群の肺門リンパ節病変が高度で,炎症病変が縦隔リンパ節にも次々に波及して静脈角リンパ節まで達し,そこから結薇菌が静脈血中に侵入して全身に散布するタイプである. A晩期蔓延型:慢性孤立性臓器結核症(肺,腎、骨,頚部リンパ節,性腺などの結核症)において核病巣内とりわけ空洞壁で毛細血管や細静脈が侵され,そこに結核菌が侵入して全身に散布するものある. 粟粒結核は,免疫能が低下した宿主に発症するが背景病態として白血病などの血液疾患,悪性リンパ腫や癌などの悪性腫瘍,人工透析,肝硬変,糖尿病,膠原病,HIV感染症,ステロイド投与,免疫抑制薬投与,抗癌剤投与,妊娠・分娩,老齢,アルコール中毒などがある.
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