ヒト型結核菌の鑑別法としてのナイアシンテスト
ナイアシンテスト(抗酸菌同定) niacin test
 結核菌にはヒト型のほかにウシ型トリ型の結核菌がある。これらの抗酸菌は多量のナイアシン(niacin、ニコチン酸)を産生する。

M. tuberclosisM. simaeなどは産生されたナイアシンをナイアシン・リボヌクレオチド (niacin rebonucleotide)に転換することができず多量のナイアシンが菌体外に蓄積さ れる。

ナイア シンテストでヒト型結核菌のほとんど全てが陽性になるが、ウシ型やトリ型などの他の抗酸菌ではナイアシンを代謝分解してしまうため、ほぼ全てが陰性となる。

注)BCGについては本来牛型結核菌であるので陰性であるが、BCG日本株については弱陽性との記載あり。(結核病学T基礎・臨床編 財団法人結核予防会 p221-222)

この現象を利用したのが ナイアシンテストであり、ヒト型結核菌の鑑別によく用いられている。

検査は小川培地に熱水を加えて抽出を行い、BrCNとアニリンによる呈色反応で黄色を呈した場合を陽性とする。

◆ BCG
BCGワクチンは,パスツール研究所(フランス)のカルメットとゲランによって開発されたものです。ウシ型結核菌を13年間230代継代培養したことにより弱毒化に成功しました。わが国へは,1924年パスツール研究所から分与され,1938年に日本学術振興会に小委員会が結成されて研究が進められ,BCGの効果が確認されました。現在では,結核予防法に基づいて,全国的に予防接種が実施されております。

◆ MTD  Mycobacterium Tuberculosis direct test
核酸増幅法(TMA法)を用い、数種類の結核菌群に共通する遺伝子を迅速に検出・同定する検査。
 結核菌を溶菌して菌内に数千コピー存在する16srRNAを抽出し、それを鋳型にプラ イマーと逆転写酵素により二本鎖DNAを合成する。その二本鎖DNAを鋳型にRNAポリメラー ゼでRNAを合成することによりターゲットとなるRNAを増幅する。ただし、結核菌群 (Mycobacterium tuberculosis, M.bovis, M.bovis BCG, M.africanum, M.microti)として検出する ので、菌種の同定はできない 

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