定期健診の必要性について
結核予防会ホームページ要約
(1)結核胸部健診の現状と問題点
 1975年には集団健診で1人の結核患者を発見する費用は21万円
 現在では1人の結核患者発見に900万円以上必要。

 住民健診での活動性結核発見率が19770年頃の0.1%から0.016%へと激減。
 定期健診での患者発見率は0.0069%

 西ドイツやイギリスでは、発見率がそれぞれ0.04%、 0.02%を割ると健診の必要性がない

 1998年の新規結核登録患者のうち、78%は有症状による医療機関発見(定期健診以外の発見)
 職場健診での発見は8.3%で、そのうち約半数が20〜40歳代
 住民健診での発見は40歳未満では4.2%、40歳以上では16%と高値。
 1964年のWHO報告書では結核高発病危険群の胸部集団健診は有用
 結核高発病危険群とは、ホームレス、日雇い労働者、サウナ利用者、寝たきりの高齢者、在日外国人、小規模事 業者、結核患者の接触者、精神病院・老人施設・矯正施設等の入所者など。

 10〜20歳代は、結核高危険年代、集団感染事例の増加あり、定期の胸部X線健診廃止は問題。
 20歳未満では胸部X線健診による患者発見の費用は、患者が発見されることで得られる利益を上回る。

(2)ツベルクリン反応検査の問題点
 ツベルクリン反応検査は、BCG接種が廃止になれば、廃止されるべき。
日本では、発赤で判定をしているが、欧米での硬結による判定との整合性がない。

(3)その他
 結核は飛沫核感染である。塗抹陽性患者の発見に、胸部X線検査だけでは、医師の読影能力不足や経験不足による見落としが問題。
寝たきりの高齢者等、身体的に胸部健診が受けにくい対象への、患者発見方策を考えるべき。

2.今後の対策
(1)結核胸部健診の今後の対策
〔40歳未満の胸部健診〕
 平成12年度の調査では、15歳から19歳(高校生、専門学校生、大学生)で、胸部健診による結核発見率が28.9%。全面的に廃止は問題。
20歳未満では胸部X線健診による費用が利益を上回る可能性。
40歳未満の胸部健診については、入学時(高校、専門学校、大学等)、就職時、転職、転勤時、30歳時など、特定年齢や新たな集団生活に入る時点に定期化するのがよい。
〔40歳以上の胸部健診〕
 40歳以上の健診は、一般健康診査に組み込んで生活習慣病対策と同時に行う。
肺ガン検診として、胸部X線検査も一般健康診査に含めて行う。
しかし、肺がん死亡率減少効果が小さいので、今後CT健診(特にヘリカルCT)など効率のよい健診方法を考慮すべき。
 肺がんハイリ スクでは、3年に1回、その他の者では5年に1回CTで健診を行い、その間は毎年胸部X線健診を行う方法も考えられる。
〔結核高発病危険群への定期健診化〕
@高齢者収容施設入所者及びデイケアなどに通院する者
A精神病院、矯正施設など集団生活が長く行われる可能性の高い者
Bホームレス、日雇い労働者、特定結核高まん延地域の住民
C簡易宿泊施設、サウナ等に居住している者
D小規模事業者及びその従業員
E入国後3年以内や、日本語学校に通学する在日外国人
F結核患者との濃厚接触者など
Gその他、知事が必要と認める集団に属する者
Hデインジャー・グループ(医療従事者・接客業者等)

(2)有症状健診の重視、喀痰検査の定期化
高齢者の患者発見方策として喀痰検査の必要性、寝たきりの高齢者等、胸部写真撮影が不可能な者や有症状者には、喀痰検査をルーチン化。


もとにもどる