多剤耐性結核患者の航空機内での感染事件
New. Engl. J. Med. 34:933-938,1996

この文献は,一人の多剤耐性肺結核患者が,民間航空機で飛行中に来客に結核を感染させた世界初の報告である.

感染源は32歳の女性, 1994年4〜5月にかけホノルルーシカゴーバルチモア−を飛行機で往復した.

その後,広範な肺結核(空洞陽性)で発見され,入院後5日日に肺出血と呼吸不全で死ヒ亡している.

喀痰塗抹陽性で,耐性検査でINIl, RFP, PZA, SM, KMに耐性が判明.

家族検診では接触者7人中5人に感染. 4回の飛行で延ベ1,042人が検診対象者となり,全米41州,カナダ,プエルトリコなど広域にわたる検診体制を引き, 760人の検診結果を解析.

結果は, 4回の飛行のうち最終のシカゴからホノルル行き(飛行時間8.75時間)の乗客の中で他の3回の飛行よりもツ反陽性者が多く(6%対2.3, 3.8, 2.8%),さらに感染源患者と同じセクションで座席が2列以内の乗客にツ反陽性者が多くを占めた_

※日本では成り立たない報告、日本ではBCGによる陽転が多く、ほとんどの人がツ反陽性でツ反が感染の指標にはならない