結核患者の入院期間短縮へ 
厚労省委員会が退院基準案
共同通信社ニュースより 2005.2.10
 欧米に比べ極めて長いとされる日本の結核患者の入院期間を短縮するため、厚生労働省の小委員会は9日、薬が効かない多剤耐性結核でないことや、標準的な化学療法が副作用なしに2週間以上実施されていることなどを要件とした「退院基準案」をまとめた。

 3月下旬に予定されている上部の部会で正式に了承される見通し。国内の結核医療の中心である国立病院機構は、研修会の実施や手引書の作成で基準の徹底を図る。

 厚労省などによると、結核患者の平均入院日数は米国では10日程度だが、国内では約5カ月で地域差も大きい。適切な化学療法が行われれば、患者から感染が広がる可能性は2週間程度で極めて低くなり、入院と外来で家族への感染頻度に差がないことから、小委員会などが具体的な検討作業を進めていた。

 退院基準の策定に伴い、同省は結核患者の治療に必要な病床数の算定方式も見直す。また、結核菌に感染したが未発症の人に薬を予防内服の実施基準も、現在の29歳以下から、条件付きで30歳以上にも広げる方針。
私見)
◎排菌があっても治療していれば入院の必要はないということらしいが、いままでの保健所の対応とは180度転換させるような方針だが、医療関係者ではなく一般の人にどのように説明していくのかかなり難しいだろう。
◎米国の入院期間が短いのは医療費の抑制が目的で米国の治療法が進んでいると言うことではない。もしかすると日本の入院期間の方がよかったということになる可能性はないのか?
m3comに投稿していた人の案(転載)
<一般的な退院基準>
1)標準化学療法が副作用なく2週間以上実施されている。
2)咳や発熱等の臨床症状が改善している(注a)。
3)臨床的に多剤耐性の可能性がない(注b)、または薬剤感受性検査で多剤耐性が否定される。
4)保健所との連携がなされ、DOTS等のシステムにより服薬継続が保障されている(注c)。
5)新生児やBCG未接種の乳幼児、または免疫不全状態にある者と新たに同居しない


a ) 咳嗽が軽減していることが必要。咳嗽が継続している場合、喀痰塗抹陰性化を確認しておくことが望ましい。
b ) 初回治療であり、かつ多剤耐性結核患者との接触歴がないこと。ただしこの場合、薬剤感受性検査が判明するまで入院施設の外来で治療すること。
c ) DOTSカンファランス、薬局DOTS、簡易DOTS、外来DOTS、外来での未受診患者の呼び出し、保健師の家庭訪問等地域の実情に合わせた何らかの方策がなされていればよい。
 一般病床への移動する場合
 施設への入所する場合
 生児やBCG未接種の乳幼児または免疫不全状態にある者との新たな同居の場合
 副作用や薬剤耐性(注d )で標準化学療法ができない場合
 の退院条件
1)有効な化学療法(注e )が副作用なく実施されている。
2)咳や発熱等の臨床症状が改善している。
3)薬剤感受性検査で多剤耐性が否定される。
4)異なった日の検査において、連続2回塗抹陰性または連続2回培養陰性(注f )。
5) 保健所との連携がなされ、DOTS等のシステムにより服薬継続が保障されている。


d )多剤耐性例を除く。
e )日本結核病学会治療委員会の報告(「結核医療の基準」の見直し、2003)に沿った化学療法ができていること。
f )喀痰検査の頻度は2週ごとを基準とするが、施設の実情に応じて頻度を増加させてもよい。
私見)
 塗沫陰性化が2週間で起こるとは思えないのでやはり入院期間としては4週間は必要ではないか。