結核菌の消毒
結核病学 T 基礎編 より
消毒薬
培養菌
喀痰中の菌
アルコール5分で死滅蛋白への浸透が悪く、ほぼ無効
石炭酸水 1〜2%で5分
5%で30秒〜1分
5%を喀痰と等量で混ぜて完全殺菌まで24時間
※アルカリを加えると効果が強まる
クレゾール石けん液 0.5%で60分
1%で45分
2%で10分
5%で5分
5〜10%を喀痰と等量で混ぜて完全殺菌まで1〜12時間
界面活性剤
(商品名アノンなど)
石炭酸と同程度の効果
クロルヘキシジン
(商品名ヒビテンなど)
ほとんど効果なし
逆性石けん無効

60゜以上の加熱。これで蛋白を凝固を期待する。
・水浮遊液で60゜で10〜30分
・80゜で5分
・喀痰では100゜で5分以上
・煮沸では10分以上
・器具では高圧蒸気(121゜)で30分
紫外線が有効
・衣類・寝具は直射日光で2〜3時間
殺菌灯
・15Wで50cmの距離で、5mmの液層(0.1mg/mlの結核菌浮遊液)で3分
※紫外線が遮られると効果は低い
乾燥 ・培養菌を低温で1年間乾燥状態にしても生きている。
・絨毯に付着した微量の結核菌では3〜4ヶ月死滅
・紙片・布片に結核菌を薄く付着し室温で置いた状態では2週間くらいで死滅した。


・結核菌は薬品による消毒はあまり効果がない。患者材料・実験材料のような大量の結核菌を含む物は高濃度の消毒液を使用してもいいだろう。
・手洗いや衣類の消毒に薄い消毒液を用いるのは合理的ではない。手に付着した場合、石けんとぶらしで皮脂と一緒に洗い流せば十分である。
物理的消毒が一番効果的であろう
結核は消化器伝染病とは伝染経路が違うので、器物・衣類からの結核菌で感染することはほとんどない。
・白衣は80゜での高温洗濯でよい。
参考文献
 李 英徹:諸種消毒剤の結核菌に対する殺菌効果、結核、56:567,1981


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