結核菌迅速薬剤感受性試験法「プロスミックMTB-1」の小川培地を用いた耐性検査との互換性
結核74(3),162,1999
○河原 伸・永礼 旬(国療南岡山病院) 一山 智・飯沼由嗣・山根誠久(結核菌迅速薬剤感受性試験研究会)
【目的】
迅速でかつ定量的な結核菌薬剤感受性試験法として新たに開発された「プロスミックMTB-1」(極東製薬) (以下本法)の有用性を評価すべく小川培地を用いた耐性検査との互換性について検討した。
【材料と方法】
(1)薗株:当院臨床分離菌株90株
(2)比較検討薬剤: SM, EB, KM, INH, RFP, LVFXの6薬剤
(3)薬剤感受性試験:本法はMiddlebrook 7H9 brothにて培養された菌液を滅菌水でMcFarland#1.0に調整し、変法Middlebrook 7H9 brothで100倍に希釈した後、薬剤固定プレートの各ウェルに200μ/lずつ接種し、 36±1℃、 5%CO2環境下で培養した。 MICの判定は培養7日後に行った。

小川培地を用いた耐性検査(以下小川培地)はマイクロタイター法による極東結核薗感受性スペクトル検査用培地とLVFX用自家製斜面培地を使用した。

【結果】
小川培地での耐性判定濃度をSM20μg/ml,EB 2.5μg/ml、 KM 100μg/ml, INH 0.1μg/ml、 RFP50μg/ml、 LVFX 1.25μg/mlとすると,
@SM感性菌75株中74株(98.7%)のMICは4pg/ml以下で、耐性薗11株中10株(90.9%)はすべて64μg/ml以上であった。
AEB感性菌78株中77株(98.7%)のMICは2μg/ml以下で、耐性菌5株はすべて4μg/ml以上であった。
BKM感性菌90株中88株(9718%)のMICは4μg/ml以下であった。
CINH感性菌49株のMICはすべて0.25pμg/ml以下で、耐性薗15株中12株(80.0%)は8μg/ml以上であったが, 3株(20.0%)は0.25μg/mlであった。
DRFP感性蘭82扶のMTCはすべて0.06μg/ml似下で,耐性薗8株のMICはすべて32μg/ml上であった。
ELVFX感性薗86株中83株(96.5%)のMICは1μg/ml以下で、耐性蘭3株はすべて8μg/ml以上であった。
【考察】以上の結果より本法は迅速性のみならず既存の耐性検査との互換性にも優れていることより臨床的有用性が十分期待されるものと思われた。

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