生体内結核菌の生存状態と抗結核薬 | ||||||||||||
耐性菌が遺伝子の突然変異により発生する確率 | ||||||||||||
David HL:Probability distribution of drug reesitant mutants in unselected population of Mycobacterium tuberculosis. Appl. Miclobiol. 28:810,1970 |
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抗結核薬の効果に及ぼす因子 | ||||||||||||
(1)細菌学的因子 @量的因子: 菌量が多いか少ないかは病巣の性状により異なり,その菌量は空洞では108,被包乾酪巣では102〜3と言われる。 菌量が多い場合,薬剤により多少の違いはあるが10-6程度の割合に自然耐性菌が含まれている。したがって単剤使用ではそれらが選択される危険が高いため多剤併用が必要である。 2剤併用で10-12,3剤で10-18,4剤で10-24と,その危険度を著しく低くすることができる。 A代謝的因子:
B環境因子 中性では多くの薬剤は有効、アルカリ性ではSM、酸性下ではPZAが有効。 (2)薬物学的因子 @投与量:投与後の血中濃度が菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)を上回る投与量が必要である。SM,INH,RFPは常用量投与後の血中濃度がMICの10〜20倍以上に及ぶが,他の薬剤はその比率は高くなく,EBは1.0g服用後2時間でたかだか2倍程度である。 A組織移行性・細胞膜浸透性:SMは細胞膜浸透性が悪く髄液腔への移行も悪い。PZA,INH,RFPは組織移行性,細胞膜浸透性とも良い。特にPZAは髄液腔への移行性が高い。 B1ag period:間欠療法の場合に問題となる。外国の成績ではTBl,TH,CS(EB)は間欠療法にはあまり適さないとされている。間欠療法も週一回法は投与量を大量にしても効果は落ちるようである。 |
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山口 亘(大阪市西成保健センター分室)氏によれば『EBは日本では評価が高いが、有力な薬剤ではない・・・』と内科学会雑誌(89(5)、2000)の座談会で述べている。 |