結核予防法との統合、意見集約できず 
−感染症法改正案−
2005.11.16 MEDIFAXより
 厚生労働省は、生物テロ対策として感染症の病原体や毒素の管理規制を設けたり、結核予防法との統合を盛り込んだ感染症法改正案の概要をまとめ、11月2日の厚生科学審議会感染症分科会(分科会長=倉田毅・国立感染症研究所長)に提示した。危険度に応じて病原体を4分類し、所持や製造の規制や罰則を設けるはか、結核予防法を統合して結核菌や多剤耐性結核菌も規制対象とする。感染者の人権を尊重する規定も加える。2006年10月から施行する。

 分科会では、「統合は時期尚早」などと複数の委員が結核予防法との統合に反対結核対策が後退しなければ統合に反対しないなどの意見もあったが、結局、意見集約できないまま議論を終えた。次回の分科会は予定されておらず、厚労省は、統合に反対している関係学会などに個別に理解を求め、予定通り06年の通常国会に改正案を提出する考えだ。

 改正案の概要では、エボラウイルスやSARSコロナウイルスなど生物テロの恐れのある48種類の病原体を1類から4類特定病原体等に分類。分類に応じて製造や輸入を禁止したり届け出義務を課すほか、罰則も設ける。医師に対しても大規模な感染症が発生した場合や慢性感染症患者の届け出義務を規定

 また、法の基本理念に感染者の「人権の尊重」を盛り込み、感染者に対する適切な説明と理解に努める医師の努力義務も創設する。都道府県知事が感染者に強制入院措置をした場合、保健所に設置した協議会の意見を聞くことも位置づける(11月4日付)


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