CDCがQuantiFERON TB Gold検査の使用に関するガイドラインを発表  
http://www.m3.com/news/news.jsp?categoryId=500&sourceType=SPECIALTYより(2005.12.22)
この検査法は現在ツベルクリン反応検査が使用されているすべての状況に原則使用することができる
Laurie Barclay, MD
Medscape Medical News

Reviewed by Gary D. Vogin, MD
【12月22日】米国疾病管理センター(CDC)は、基本的に現在結核皮膚検査が使用されているすべての状況にQuantiFERON TB Gold検査(QFT-G)を使用することができるという新しいガイドラインを発表し、『Morbidity and Mortality Weekly Report: Recommendations and Reports』12月16日号に掲載した。このガイドラインは、米国においてTB管理活動にかかわる公衆衛生担当官、医療従事者、検査室の者を対象としている。

「5月2日、新しいin vitro検査法であるQuantiFERON-TB Gold (QFT-G;Cellestis 社;オーストラリア、ヴィクトリア州カーネギー)はMycobacterium tuberculosis感染診断の補助手段として米国食品医薬品局(FDA)の最終承認を取得した」と米国立HIV性感染症結核予防センター結核撲滅部門のGerald H. Mazurek, MDらは記述している。「この検査は、M. tuberculosisに存在する二つの蛋白、early secretory antigenic target-6 (ESAT-6)culture filtrate protein-10(CFP-10)を代表する合成ペプチド混合物とインキュベートしたときに感作された人の新鮮ヘパリン添加全血中のインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)の放出を検出する。これらの抗原は、結核(TB)抗原として精製蛋白誘導体[PPD]を用いる検査法よりも高い特異性を有する」

直接比較から、未治療で、培養によりTBが確認された人における感染の検出においてQFT-Gの感度はツベルクリン反応検査(TST)と統計的に差がないことが示された。現在、米国においてTB管理プログラムがターゲットとした特定の集団を対象として不顕性TB感染(LTBI)の発見を目的としたQFT-Gの診断的価値の評価がなされているところである。現時点で、本検査の最終的なTB発症予測能は不明であり、何年にもわたる大規模コホートにおける観察的研究によりこの問題を検討する必要があると思われる。

2005年7月、CDCはQFT-Gに関するエビデンスと臨床経験を検討するための専門家会議を設置した。この専門家グループは、現在TSTが使用されているすべての状況にQFT-Gを使用できると結論した。このような状況には、接触の調査、最近の移民者の評価、医療従事者等の感染管理のための連続的検査調査がある。また、CDCガイドラインには特定のサブグループにおけるQFT-G結果が陰性の場合の解釈についての具体的な注意事項も記載されており、QFT-Gの使用と解釈における暫定的ガイダンスとなる。

「TB症の確定または除外とLTBIの可能性の評価には、QFT-Gの結果を解釈する際に疫学的所見、病歴、理学的所見、診断所見を総合して検討する必要がある」と著者らは記述している。「この報告書は、TB管理におけるQFT-Gの使用について公衆衛生担当官、臨床医、検査部の者の理解の助けになることを目的としている」。

FDAは、QFT-Gを、臨床の現場、ならびに公衆衛生用(理想的には地域の公衆衛生TB管理プログラムに連動して)に、TB症とLTBIの両方の診断を補助するin vitro検査法として承認した。QFT-Gアッセイの操作法は添付文書に記載されており、QFT-G検査結果は製造業者によって提供されるソフトウェアによって計算できる。また、ガイドラインには検査結果の解釈のための表も含まれている。臨床検査報告書には、QFT-G検査結果の解釈を記載し、各血漿検体中のIFN-γ濃度を表示すべきである。

QFT-Gのいくつかの制限事項はTSTと同様であると思われるが、現時点では広範にわたる試験は行なわれていない。未治療で、培養によりTBが確認されている場合のQFT-GのM. tuberculosis感染検出感度は、公表された研究では約80%であるが、特定のTB患者サブグループ(小児、免疫低下状態の患者等)における感度はまだわかっていない。LTBIに関しては、QFT-Gの感度はTSTよりも低い可能性があるが、感度を正確に確かめる方法がないため、評価は困難である。TB症患者の試験に基づくあらゆるLTBIの間接的検査法の感度の推定は、この2つの状態が異なることから、不正確である可能性がある。LTBIがTB症へと進行するリスクについてのQFT-Gの予測能はまだ決定されていない。

TSTと同様に、QFT-GはTB症関連感染とLTBIとを鑑別することはできない。LTBIの確定診断には、医学的評価によってTB症を除外しなければならない。この評価には指標となる症状を病歴上聞いたり、徴候を診察したり、胸部X線、また必要に応じて、喀痰または他の臨床検体におけるM. tuberculosisの検査を含めるべきである。他の診断的検査と同じく、検査対象集団におけるM. tuberculosis感染保有率がQFT-G結果の予測値に影響を及ぼす。

「各QFT-G結果とその解釈は、他の疫学的所見、病歴、理学的所見、検査所見とともに検討すべきである」とガイドラインには注記されている。「TST結果が陰性の場合と同様に、QFT-G結果が陰性であることだけで、TB症の指標となる徴候・症状を有する者においてM. tuberculosis感染を除外すべきではない。TB症の指標となる徴候・症状が存在する場合、M. tuberculosisに感染している可能性が高くなるため、このような状況ではQFT-GまたはTST結果陰性の予測値が低下する」。

症状がみられる人では、病歴、理学的検査からなる医学的評価、胸部X線、細菌学的検査、HIV血清検査、また必要に応じて他の検査を行なうべきである。

HIV感染、AIDS、免疫抑制薬療法中、特定の血液学的疾患、一部の悪性腫瘍による免疫低下状態の人におけるQFT-Gを用いた場合の感度および不確定結果の割合は確立されていない。これらの疾患または治療はTSTに対する反応性を低下させることが知られていたり、疑われている。また、これらはQFT-G アッセイにおいてIFN-γ産生を低下させる可能性がある。TST結果が陰性の場合と同様に、QFT-G結果が陰性であることだけでは、これらの集団におけるM. tuberculosis感染を除外するには不十分である。

QFT-Gが実用上問題なのは、静脈採血の必要があること、検査に間に合うように認定検査機関に5mLの血液検体を搬送する必要があることがあげられる。

「QFT-Gは、TSTが使用されているすべての状況(接触の調査、BCG[カルメット・ゲラン杆菌]予防接種を受けた最近の移住者の評価、M. tuberculosis感染の連続評価を受ける医療従事者等のTBスクリーニング等)に使用することができる」と著者らは記述している。「通常、QFT-GはTSTの代替として使用できる(TSTの補助としては使用できない)。QFT-G結果が陽性の場合、TST結果が陽性の場合と同一の公衆衛生的および医学的介入を行なうべきである」。

ガイドラインは、QFT-G結果が陽性の場合にTSTを行う必要はないと注記している。その代わりとして、QFT-G結果が陽性の場合、症状または所見の有無にかかわりなく、TB症について評価した後にLTBIの診断を行なうべきである。HIV感染ではTBの懸念が大きく、LTBIの治療は緊急を要するため、HIVのカウンセリング、検査、専門医への紹介も推奨される。TBが除外された後に、LTBIの治療を検討すべきである。

「最近、感染性TB保有者と接触した場合、最終接触後8から10週に実施する再検査でQFT-G結果陰性を確認すべきである。これはTST結果が陰性の場合の勧告と同様である」と著者らは結論している。「接触歴があり、QFT-G結果が陰性の場合の再検査の時期がいつがよいのかについての研究は報告されていない。より多くの情報が得られるまで、QFT-G検査の時期はTSTの場合に準じるべきである」。

MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2005;54(RR- 15):49-55


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