治療開始後の感染性
 (1)再考・結核の入院と退院の基準
第87回日本結核病学会総会 ミニシンポジウム2 2012年5月11日 広島
NHO近畿中央胸部疾患センター 露口一成先生講演
〇2週間の治療を行えば感染性がなくなるというエビデンスは存在しない。
(いつ感染性がなくなるのかは誰にも分からない)
〇院内での隔離が必要、潜水艦での仕事に復帰できない状態でも家族のいる自宅に帰ることは可能
〇近畿中央胸部疾患センターでは感受性菌であることが証明され、塗抹が3回連続陰性なら隔離を解除
(この基準は次恣意的な(近畿中央疾患センターで決めた)ものであり有効かどうかは証明されていない。
(2)米国呼吸器学会、CDC、米国感染症協会からの勧告
〇かつては化学療法により感染性は迅速に消失し、治療中の患者は非感染性であると考えられていた
〇治療中の患者の感染性を評価する実験系が確立されていない
標準療法(INH,RFP,EB、PZA)14−21 日後には感染性は治療前のおよそ 1%以
 BOX3:治療中の肺結核患者の感染性消失の条件
多剤耐性結核の可能性がないこと
 (多剤耐性結核への曝露や治療中断歴がないこと)
2−3週間は標準的な多剤併用療法を受けている
 (喀痰塗抹検査が陰性またはまれに陽性の患者では、基準となる治療期間は5−7日間である。)
患者は治療を遵守している
 (例 DOT 下である)。
臨床的に改善が認められている
 (例 咳の頻度や喀痰中の抗酸菌の濃度の低下)
●全ての濃厚接触者は特定され、評価・検査され、助言を受け、必要ならば潜在性結核感染の治療を開始し ている。
 この条件は、特に4歳未満の小児と免疫低下状態の者(例HIV 感染)では、重要である。
● 入院中はいかなる理由があろうとも、肺結核患者は以下の条件を全て満たすまで、空気感染隔離室に収容しておく。
1)標準的な多剤併用療法を受けている、
2)臨床的に改善を示す、
3)8−24時間以上空けて喀痰塗抹検査で抗酸菌陰性を確認する
 (少なくとも1回は早朝痰)。
退院後に人が密集する状況(例 住所不定者収容施設や矯正施設)に戻る場合には、8時間以上空けて3回連続して採取した喀痰で、抗酸菌陰性の確認をもって、感染性の消失とする。
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