結核診療ガイドライン改訂第2版解説
 MEDICAL ASAHI 2012.11
・2010年の推定
 ・世界人口の3分の1が結核に感染(※発病ではない)
 ・年間880万人が結核発症
 ・年間145万人が死亡
 ・98%が発展途上国、旧社会主義国で患者が発生
 ・発生地域は
  ・アジア 59%
  ・アフリカ 25%
 ・罹患率:人口10万あたり128
・日本の現状(2010年)
 ・新規登録患者2万3261人
 ・罹患率:人口10万あたり18.2欧米先進国の4倍
・日本の結核の最近の特徴
 @発生患者の59%が65才以上
 ADM、免疫抑制剤治療などリスク集団に多い
 B社会経済的弱者に高い罹患率
 C重症患者の増加
 D薬剤耐性結核の増加
 E非定型症例の増加
 F集団感染の多発 
 入院の基準
1:肺結核、咽頭・喉頭結核または気管・気管支結核で喀痰塗沫陽性
2:喀痰塗沫陰性で喀痰、胃液または気管支鏡検体で塗沫、培養または核酸増幅法のいずれかで陽性で以下のア〜ウに該当するとき
 ア:感染防止のために入院が必要とされる呼吸器症状がある
 イ:外来加療中に排菌量の増加がある
 ウ;不規則治療、治療中断で再発
(平成19年9月7日 厚労省健康局感染症課長通達)
退院させなければならない基準
 ・咳、発熱などの症状がなくなる
 ・異なる日に採取した喀痰で3回喀痰培養検査が連続陰性

退院させることが出来る基準
 下記の@〜Bすべてを満たした場合
 @2週間以上標準化学療法が行われ、咳、発熱などの症状が消失
 A標準治療2週間以後で連続3回喀痰培養陰性
 B・治療の継続および感染拡大防止の重要性を理解
   ・退院後の治療継続が可能
   ・他者への感染防止が可能
〇結核菌検査
 ・連続3日間の検査推奨
 ・健康保険診療ではPCRは1回だけ
 ・スクリーニングは蛍光抗体法
  ・確認はチール・ニールセン法(菌数が少ないとき)
 ・固形培地では最終確認に8週間
 ・MGIT(液体培地)でも6週間(迅速性、検出感度に優れる)
〇同定検査法
・喀痰から直接行う
 ・PCR法:DNAを増幅する
  ・結核菌群以外のM.aviumとintracellulareが検出可能
 ・MTD法:RNAを増幅
・培養検体から行う
 ・PCR法
 ・アキュプローブ法
  ・結核菌群とM.avium complex
 ・DDHマイコバクテリア法
  ・結核菌群と18種の抗酸菌
薬剤耐性検査
 ・一定の薬剤濃度で1%以上の耐性がある場合→耐性と判定
 ・非結核性抗酸菌には使用できない
 私見)
日本のように結核予防法で完全に患者数が把握されているのか、はなはだ疑問である。
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