QFT陽性者に対する抗結核薬の予防投与
m3com カンファレンス2010/04/01より
かなり実践的な内容で投稿されていたので・・・・
 ・入院中の患者が排菌あり、結核専門病院に転院。
・接触者にクオンティフェロン (QFT) を実施しQFT陽性者がいた。
・INHの予防投与どうしたらよいか?
1. QFT陽性の接触者が、結核を発病していないことを確認する
 ・予防投薬はINH感受性菌で、接触者は発病していないことが前提
 ・症状確認、頚部リンパ節腫脹なしの確認、胸部X線撮影、
 ・痰の出る人では喀痰抗酸菌培養検査
 ・QFT陽転者が多くいるなら、陽転者の発病の危険が高いので被曝の危険はあるがCT検査

2. 自分が処方しなければならないとしたら?
 ・結核に新たに感染した場合、発病する危険は平均10%
 ・感染性が高い感染源で、濃厚接触なら30%位まで上がる。
  ・HIVや糖尿病など結核を発病しやすい因子を持っている場合は発病の危険は増える
 ・INHを内服すれば発病の危険は1/3 (10%なら3%)に減るが、ゼロになるわけではない
 ・INHの副作用で最も問題の多いのは肝障害。
 ・日本では結核の致死率は5-10%の間
 ・結核治療の副作用で死んだ人もいる
 ・INHの予防的投与で死んだ人はいない
  ・米国ではINHの予防的投与で死んだ人がいる。
 ・INHは副作用はあるが内服したほうが有利であろう
 ・INHの内服をお勧めすると説明。

3. INH投与後のフォロー
 ・NH開始前に採血検査。開始時問題なく、治療開始後は症状が無ければ採血検査しない。
 ・全患者治療開始後1ヶ月と,2ヶ月後に採血検査する。
 ・肝障害の症状は食指不振なので、有症状時来院するようによく説明しておく。

4.INH使用量と期間
 ・成人では投与量は5mg/kgで通常200-300mg
 ・ピドキサール( ビタミンB 6)は、糖尿病や妊婦や栄養障害では必須
 ・AST100(症状あり)-200(症状無)以上でINH中止
  ・リファンピシンに変更も考える。
 ・服用 コンプライアンスの確保が重要
 ・治療期間は6-9ヶ月
 ・9ヶ月の方が少し治療成績がよい(1/3の発病が1/4になるくらい)との報告。
 ・X線検査(6ヶ月毎と有症状時)は必要
 ・治療中でも発病することあり。 
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