肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012年改訂
日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会
日本呼吸器学会感染症・結核学術部会
平成24年 2 月(2012年)
○肺 MAC症に対する標準化学療法
 ・肺 MAC症化学療法は RFP,EB,CAMの 3 薬剤による多剤併用が基本
 ・必要に応じてストレプトマイシン(SM)またはカナマイシン(KM)の併用を行う。
 ・肺 MAC症に対して単剤による治療は効果が弱い、
 ・特に CAM単剤投与では数カ月以内に CAM耐性菌が出現することが警告されているため,決して行ってはならない。
American Thoracic Society: Diagnosis and treatment of disease caused by non-tuberculous mycobacteria. Am J Respir Crit Care Med. 1997 ; 156 : S1_S25.
 RFP 10 mg /kg(600 mgまで)/日 分1
EB 15 mg /kg(750 mgまで)/日 分1
CAM 600~800 mg ⁄日(15~20 mg /kg) 分 1 または分 2(800 mgは分 2 とする)
SMまたは KMの各々 15 mg /kg以下(1000 mgまで)を週 2 回または 3 回筋注
・味覚障害,胃腸障害が特に高齢者で見られる
・70歳以上の場合,1 週間ごとに 1 薬剤ずつ追加し、内服 3 剤を一挙に開始するのは避ける。
・投与後数カ月以内に白血球2000以下、血小板10万以下になる場合はRFPなどの中止を考慮
・時にEBまたは RFPによる広範囲な皮疹の出現→減感作療法により対処可能。
・EBの投与期間が長期間になるので視力障害の注意する
・RBTは RFPよりやや強力
 ・RFPが投与できない、RFPの効果が不十分な時に投与を考慮する。
 ・RBT 300 mg=RFP 600mg
 ・RBT特有の副作用としてぶどう膜炎があり。
 ・RBTは CAM併用で血中濃度が1.5倍以上に上昇する
 ・CAM併用時の RBT初期投与量は150 mg ⁄日,6 カ月以上で副作用がない場合は300 mg ⁄日まで増量可
○投与期間
・日米のガイドラインに記載されている「菌陰性化後約 1年」にはエビデンスがない
・英国胸部学会ガイドラインでは薬剤投与期間をは2年
・日本での長期観察報告では ATSガイドラインの指示期間以降も継続投与のほうが予後は良い
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